NEWS

大分のニュース

11月27日(木) のニュース

2025年11月27日(木) 19:16

佐賀関火災 被災者の希望と現実のギャップ 専門家は“事前復興計画”の必要性を指摘

大分市佐賀関の大規模火災から10日目。

避難所生活が長引く中で、地元に残りたくても暮らせない厳しい現実も見えてきました。

市は先週、アンケート調査を行い、被災した約130世帯のうち70世帯が回答しました。

その結果を見ていくと、この後、仮住まいを希望する場所については5割が佐賀関を希望。

次いで、西隣に位置する坂ノ市、大在を希望する人が2割。

大分市のどこでもいいと回答した人は1割未満でした。

また、仮住まいの後の生活場所については、6割が今と同じ佐賀関での生活再建を望んでいます。

では、被災者の思いは叶うのか。

大分市によると、23日の時点で提供できる仮住まいは公営住宅・国の宿舎がおよそ100戸。

民間の賃貸住宅が約30戸。

それぞれ家賃・敷金・礼金は無料で光熱費は自己負担です。

そして気になるのは仮住まいする場所です。

アンケートに回答した5割が佐賀関エリアを希望していましたが、今のところ130戸のうち23戸しかなく、希望する世帯の数に足りていないことになります。

大分市は「現時点で佐賀関地区に仮設住宅を新設する予定はない。仮住まい先に移れるようになる時期については、部屋の準備はほぼ完了していて、なるべく早く提供したい」ということです。

また避難所から仮住まいへと移っていく過程で、地域防災の専門家は、復興の観点からある懸念を指摘します。

大分大学の小林祐司教授は「ほかの地区の仮住まい先に入るなど、被災者同士の距離が離れてしまうと、町の復興について話し合うことが難しくなる。災害によるコミュニティーの分断や、地域の人口減少につながる可能性があり、行政がいち早く復興に向けた指針を示すことが必要」と話します。

長い間、その町で育まれてきたコミュニティーを壊さず、地域の復興を実現させるためには、災害が起きる前から復興の道のりを考えておくことが重要なんだそうです。

それを「事前復興準備」と言います。

例えば、復興の拠点をどこに設けるかや、その過程で出てくる課題を洗い出し、対策を考えるなど、復興のプロセスやビジョンを事前に決めておくものです。

県内の自治体では、佐伯市ですでに事前復興計画の策定が進められていて、来年度中の完成を目指しています。

小林教授は、被災後に街の活気を取り戻すためにも事前の準備は大きな意味があると話していました。
Xアイコン OABニュース情報センター ニュースの他、速報なども配信
YouTubeアイコン OAB大分ニュース ドキュメンタリーやLIVE配信も
Xアイコン OABニュース情報センター ニュースの他、速報なども配信
YouTubeアイコン OAB大分ニュース ドキュメンタリーやLIVE配信も

日付別ニュース一覧