20:53 更新
みなさん「サステナブル・ガストロノミー」という言葉を聞いたことがありますか?
「持続可能な食文化」を意味する言葉です。
食材の産地や栽培方法、市場、そして、その食材が料理されて食卓に届くまでのそれぞれの段階で、将来も豊かであり続けられるよう意識した食文化のことを指します。
大分県内でも「サステナブル・ガストロノミー」の取り組みが行われていて、18日は各業種の人たちが集う交流会が開かれました。
生産者や料理人、研究者など約100人が参加し、「食文化の未来をつくる」をテーマに意見を交わしました。
Yamaide Art Office 山出淳也代表取締役
「食材も燃料費もすごく高い。行政と業界、官民で共に取り組まないといけない大きな課題。大分県ならではのサステナブル(持続可能な)文化をこれからどう持続できるか」
大分県は3年前に「大分サステナブル・ガストロノミー推進協議会」を立ち上げ持続可能性を意識した食の取り組みをHPやイベントなどを通じて発信しています。
大分県中部振興局 廣末順一地域創生部長
「生産者や料理人、それを繋ぐ様々な分野の人がこれまで交流がなかったところを、新たな繋がりをもってもらい。今までにない新しい取り組みや輪作りができれば」
大分ならではの食文化を未来へつなぐために私たちができることは?県内での事例や課題をみていきます。
ここからはフカボリです。
大分の豊かな食文化を未来に繋げていく、その上には課題もあります。
1人で食事する孤食が増えたなど食生活の変化、グローバル化が進んだことで郷土料理やその土地ならではの食材を食べる機会が減ったと言われています。
農林水産省が2020年に行った20歳以上の男女を対象にした意識調査では「食文化を受け継いでいるか?」という質問に対し「受け継いでいない」と回答した人は34%。
「受け継いでいる」と答えた人のうち「地域特有の伝統料理について伝えている」と回答した人は22.5%と少なかったんです。
そんな中、県内でも、若い世代に地域の郷土料理に触れてもらいたいとイベントが開かれています。
「郷土料理甲子園inおおいた2024」
2024年11月に初開催され、大分県内の高校5校の生徒が参加し大分の郷土料理のアレンジレシピで競いました。
津久見市の郷土料理ひゅうが丼のマグロをレアに揚げた料理や、こちらは鶏めしをライスバーガーにしているようですね。
イベントを主催した大分学研究会の楢本さんは「若い人も地元の食に興味を持ってくれることが分かり嬉しかった」と話していました。
また、大分で昔から親しまれてきた食材を守る取り組みもあります。
こちらの食材「もちとうきび」は江戸時代から大分県内で栽培されていたトウモロコシなんです。
もちとうきびを米と混ぜて炊く「とうきび飯」は大分県の郷土料理として文献に残っていて地域によっては「とうきび飯」を1日3食食べていたそうです。
ただ、スイートコーンなど日本全国で他の品種が人気が出て主流になったことで生産量は減少し今は市場にあまり出回らなくなりました。
そんな「もちとうきび」を復活させたいと精力的に取り組んでいるのが、もちとうきびを研究している大分工業高等専門学校の森田准教授です。
お菓子などの加工品や地元酒造と協力をしてビールを開発しています。
この取り組みの甲斐もあって生産農家が5軒増え作付け面積は2024年が50aでしたが2025年は1.2haを見込んでいて2.4倍になるんです。
このような取り組みなど情報が共有される「大分サステナブル・ガストロノミー推進協議会」ですが、県としての事業は2024年度で終わり2025年度からは民間主体で運営を続けます。
今後の活動に期待したいです。