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11月18日(火) のニュース

2025年11月18日(火) 20:33

イスラム教徒の土葬墓地「整備は国の責務」 自民・杵築支部が国に要望書提出

大分でも議論が続いている、イスラム教徒の“土葬墓地”をめぐって、新たな動きです。

自民党県連の杵築支部が「整備は国の責務」として、国に要望書を提出しました。

■新岡智昭アナウンサー:
「東京・霞ヶ関です。自民党県連の関係者がこれから申し入れをするため、厚生労働省に入ります」

阿部長夫県議をはじめ、自民党県連杵築支部の9人が、仁木博文厚生労働副大臣に、土葬墓地に関して国の対応を求める要望書を手渡しました。

■自民党県連 阿部長夫杵築支部長:
「イスラム教の墓地計画はとりあえず今は頓挫している状況。国策として外国人を受け入れる政策を作った以上、(人生の)終末もやはり国の責任において(それぞれの)宗教に沿った形での墓地の整備が必要ではないか」

その上で、「国が責任を持った制度設計を早急に行う必要がある」と申し入れました。

午後には自民党本部も訪れ、小林鷹之政調会長にも同じ要望書を手渡しました。

■自民党県連 阿部長夫杵築支部長:
「この問題をそのままにしていいのかという我々の思いもありました。早急に整備してもらわないと、争いに発展しかねないことがこれから各地で出てくるのではないか」

宗教的多様性を背景に、私たちは土葬墓地とどう向き合うのか、改めて考えます。

ここからはフカボリです。

まずは、日出町の土葬墓地をめぐる経緯を改めて見ていきます。

2019年、別府ムスリム協会が町内に土地を買い、日出町に土葬墓地の開設を相談しました。

地元住民などとの協議が続く中、計画から2年後の2021年、「山の上にある町有地ならどうか」と住民が提案し、協会も同意しました。

しかし、水質汚染の懸念などを理由に、隣接する杵築市から反対の声が上がりました。

そんな中、日出町の住民と協会が協定を結びました。

1年に1度、水質検査をすること。これ以上、墓地の拡張はしないなどの内容で合意したのです。

合意には至りましたが、反対の声も依然として根強くありました。

こうしたことを背景に、去年の町長選で、計画の中止を訴える安部徹也町長が当選し、町有地は売らない方針を別府ムスリム協会に伝えました。

安部町長は今年3月の町議会で、「解決すべきは日出町ではないと判断しています。県や国、そういったところでご判断いただければいい」と発言しています。

「判断すべき」は一体どこなのか。

移民政策に詳しい国士舘大学の鈴木江理子教授は、「イスラム教徒が多く暮らすようになっている現状を踏まえれば、イスラム教徒への理解をいかに深めるかという取り組みは、自治体だけに任せてよいものではない」と指摘しています。

今回、自民党県連杵築支部は「整備は国の責務」として申し入れをしましたが、その内容を1つずつ見ていきましょう。

「国の責任において、宗教的多様性に対応した墓地整備の基本方針を示すこと」

「日本全国において、国が責任を持ち、複数の地域に土葬対応可能な墓地を確保・整備すること」

「埋葬が周辺環境に与える水質や衛生などの影響について、科学的に検証し、全国共通のガイドラインを策定すること」

「墓地計画に際しては、地域住民への丁寧な説明と理解促進を図るとともに、地方自治体への支援を国の責任で行うこと」

この4つを要望しました。

日本で永住する外国人が増えていることを念頭に、自民党県連の阿部杵築支部長は、「科学的な根拠に基づいた基準があれば、全国各地で土葬墓地が設置できるのでは」としています。

議論の行方はどうなっていくのか、国士舘大学の鈴木教授は、「排外的な風潮が強まる中では、建設的な議論は進みにくい。土葬の是非を論じる以前にまずは相互理解をいかに深めていくかを考えることが重要」と分析しています。

日本に永住する外国人も増えていく中、今後の動向が注目されます。
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