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4月7日(月) のニュース

2025年4月7日(月) 09:57

【大分】特産・フグを世界へ! 臼杵からの挑戦

臼杵市の特産・フグを世界に届けようという、ある、挑戦です。

創業71年、臼杵市の「木梨ふぐ」。豊後水道で水揚げされた天然物や養殖のトラフグを素早くさばき、全国の料理店や市場に出荷する加工卸売業者です。県内や東京を中心に、年間80トンを出荷しています。従業員は20代から70代の18人。
木梨桃子さん(38)は、祖父が始めた家業を継ぐために、実務と経営を学んでいます。

木梨ふぐ 木梨桃子さん:
「コロナ禍で業績が下がった時に、私が継いだあとに、このまま社業を守れるのかというところが不安になった。それをきっかけに、経営学を学ぶために大学院に通った。地元での消費量が伸びていなくて、今後長期的なところを考えた時に、狙うなら世界しかないと思った」

木梨さんの夢は、シンガポールへの販路拡大。支店を構える計画で、その手始めに現地で開催される商談会に参加します。

従業員は:
「すごい、びっくり。最初はシンガポールそこからまだどんどん広がっていってくれたらいいなと思う」

7日、商談会参加のためシンガポールへ向かうのを前に、臼杵市長のもとを訪れました。

臼杵市 西岡隆市長:
「シンガポールでの成功をきっかけに、臼杵に人を呼び込むことにもつながると思うので、期待しています。がんばってください」

木梨桃子さん:
「ありがとうございます。すごく時間がかかるし、困難が伴うと思うが、粘って粘ってしっかり形にしたいと思っています」

フグは、臼杵の特産品。市内にはおよそ20もの専門店がありますが、その消費は12月から3月の冬場がほとんどで、夏のあいだは激減します。そこで、四季がないシンガポールに進出することで、安定した販売量を確保するのが狙いです。

有毒なフグの調理には専門の免許が必要です。
木梨桃子さん:
「とげがあって刺身の上にある千切りされた細いものがフグの皮でそのとげを取り除いています。腎臓とか毒がある部分がついているので、手作業と目視で取り除いています」

シンガポールでも、フグを捌く技術を持つ人材を育て、新鮮な状態で飲食店に提供する仕組み作りが目標です。

木梨桃子さん:
「理想は2年以内には現地に法人を設立したいと思っています。私は臼杵のフグを誇りに思っていて幼少期から食べて大好きなので世界中の人に知っていただきたいと思っています」

近年、シンガポールのほか、マレーシアやオーストラリアなどへのフグの輸出が解禁されました。

木梨桃子さん:
「海外でフグを食べる文化が根付いていない単純に輸出をしようとしても“なんだろう?この食材”と。食べる文化ごと広げていくのが課題」

臼杵の特産、フグを世界へ。新たなビジネスプランの背景と、食文化創造都市の取り組みを解説します。

日本以外で、フグを食べる文化がある国はどこかといいますと、国際ふぐ協会によると中国、韓国、マレーシア、そしてアメリカの一部などだそうです。
フグの仲間は世界中の海に生息していますが、有毒なので多くの国で禁じられています。

そして、木梨さんが販路拡大を目指すシンガポールは、3年前の2022年に、皮や白子など、全ての部位の輸入が解禁されたばかりです。

農林水産省のまとめによると、シンガポールでは日本食の人気が高く、日本食レストランが1200以上あるそうです。中華料理店に次ぐ多さです。

そもそもなぜフグが臼杵市の特産品なのか、見ていきます。臼杵市の周辺海域には餌となる貝類が多く生息し、昔からフグが多く水揚げされてきました。

臼杵のフグの特徴は、黒潮の急激な海流で身が引き締まっていて、鮮度が高いため薄く捌くことができず“厚切り”になっています。
身の厚さとプリプリした食感で人気が出て、今は、半径500メートル内に、20もの専門店がひしめくふぐ料理の“激戦区”となりました。

フグをはじめとする特徴的な食文化がある臼杵市は、2021年に、ユネスコの食文化創造都市に認定されました。
臼杵市を含め、世界で55の都市が認定されていて、その都市同士でそれぞれの食文化を共有し、普及を図っています。

食文化創造都市の認定について、臼杵市の担当者は、400年以上続く醤油や味噌などの醸造発酵文化や、「もったいない」を形にした質素倹約の食文化が評価されたのではないかと話しています。

地元企業、そして行政が一緒に魅力を発信する臼杵の伝統の食文化。今後の広がりが注目です。
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