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百聞は一見に如かず。まずは、その人形がいるという別府の工事現場にかけつけた。おおっ、振ってる振ってる!朝から振りまくっている。車から降り、人形に近づいた。
クールだ。一点を見つめ、黙々と腕を振っている。我々が向けるカメラや視線にも動じない。強心臓の持ち主だ。現場の作業員のひとりに聞いてみた。「この人形、名前はあるんですか?」『てっちゃんです』「・・・なぜにてっちゃんと?」『作業員に、てっちゃんがふたりいるんで、3人目のてっちゃんです』・・・よくわからない。さらに聞いた。「この人形、いえ、てっちゃんはそちらの所有物ですか?」『いえ、リース会社から借りてるんですよ。そこに行けば兄弟がたくさんいますよ』
早速、てっちゃんの実家、大分市六坊北町にあるリース会社グリーンクロスを訪ねた。いた!確かにてっちゃんの兄弟だ。しかし、てっちゃんと違って腕に赤ランプが付いている。新型である。もとい、最近生まれた弟である。グリーンクロス代表、神田さんに伺った。「名前は?」『まもるくんです』「現場ではてっちゃんと・・・」『うちでは、安全を守る、という願いを込めて、まもるくんと呼んでいます』。納得できる由来だ。さらに聞いた。「路上に置いていて、盗まれたりとかはないんですか?」『それはないです・・・でも、ひき逃げされたことはあります』。がんばれまもるくん。
次に別のリース会社、太陽建機を訪ねた。ここには、ピクト型というタイプの人形があった。まもるくんほどリアルでなく、ヘッドライトの反射光で、目立つことに重きを置いたタイプだ。私は初めて見る型だった。
いくつか見たが、アレがない。高速道路でよく見かける、マネキン型の腕振り人形だ。高速のことなら道路公団。電話してみると案の定、公団の持ち物だった。
別府インターの倉庫に彼はいた。そう、これだ!水色の制服を着たがっちりタイプの色男。名前もちゃんとある。安全太郎。ちょっと安易すぎる気もするが、まあ良しとしよう。マネキンタイプである事以外で、前出の人形と大きく異なる点は、両腕が動くこと。しかも、やろうと思えば(正しい使用方法ではないが)左右同時に動かすことも可能なのである。しかし、実際やってみるとその動きはかなり怪しい。
さらに、別タイプはないものか、管理担当の方に尋ねたら・・・あった。引退した先代の人形があるという。倉庫に眠っていたそれを見せていただいた。瞬間、腰が砕けた。スタッフ一同大爆笑。
なぜか肌が黒い。日本人でないのは明らかだ。彫りは深く二枚目。ミクロネシア系の色男といった感じである。しかもデカイ。ゆうに2メートルはある。名前もまんま、ジャンボ太郎。GOODだ。何も言うことはない。
笑い過ぎでねじれた腸がようやく元に戻った頃、さらに駄目押しの人形を見せられた。新型なのだそうだが、めちゃくちゃリアルな人形が登場したのだ。どう見ても、実在の人物から型を取って作ったとしか思えないほど精巧な顔。しかもオヤジ顔。笑わずに10秒以上凝視するのは至難の業だ。しかし、名前は無いらしい。不憫に思った松岡リポーターは名付け親を買って出た。「しげるさん」松岡は、そう名付けた。妙にしっくりくるその名前を管理担当の方に承認していただき取材は終わった。
かくも種類があるとはつゆ知らず。しかし、とても勉強になった。散々笑ってしまったのも事実だが、それらの人形さんたちが、人間に代わり、日々安全のため働いてくれていることを忘れてはならない。皆さんも、工事現場で黙々と腕を振る彼らの姿を見つけたら、そんなこと考えてみてください。
思いつきディレクター・M
P.S. でも、やっぱり「ジャンボ太郎」は反則だと思います。
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