10:44 更新
大分県臼杵市では消滅可能性自治体から脱却するため、大分県内で初めてとなる新たな少子化対策を始めることになりました。
臼杵市長が定例会見で発表した「病児保育の送迎支援」制度。
保育園などで子どもが急に発熱した際、保護者が仕事などで迎えに行くことができない場合、病児保育施設の保育士や看護師が代わりに迎えに行き診察を受けさせるという制度です。
52人の園児が通う臼杵市立下南こども園。
ここでは子どもが発熱すると保護者に迎えに来てもらうよう連絡をしています。
しかし、こんな問題も。
臼杵市立下南こども園 桑原幸八郎園長
「今すぐには抜けられないので様子を見てくださいというのはある。親御さんにとっても心配な気持ちを抱えながらの勤務時間になると思うので、このシステムが動き始めると親御さんは安心できる選択肢が増えていいのでは」
今回の制度で送迎支援や診察をするのは「とうぼ小児科医院」です。
病院の中に病児保育室があり、診察を受けたあと保護者が迎えに来るまで子どもを一時的に預かります。
病児保育室「とんぼ」伊賀上操子さん
「子育て支援の一環としてできるだけお母さんたちの負担にならないようにしたいという気持ちもあり、うちがお受けすることになった」
この制度について市内の子育て世代は…
1歳半の子の母
「週に3日電話があったりも結構あるので職場には申し訳ないなと思う。(制度は)とてもありがたい」
5歳の子の父
「職場も人が少なかったりなかなか厳しいところもあるので、そういう制度が採用されると預けている側も非常に助かる」
市民の期待の声も大きい県内初の送迎支援制度。
少子化を食い止めるための一手になるのでしょうか?
いざという時に保護者の代わりに迎えに行ってくれる県内初の制度。
どんなものなんでしょうか。
まず制度導入のきっかけの一つが大分県臼杵市でも進む少子化です。
臼杵市内の出生数は2003年が261人。
2013年が234人、そして2023年が149人だったんです。
20年前より100人以上減っています。
新しい少子化対策として始まる病児保育の送迎支援の仕組みです。
ポイントは「保護者の代わりにこどもを迎えに行き病院に連れて行ってもらうこと」です。
まず幼稚園や保育園などで子どもが体調不良になると保護者に連絡がいきます。
仕事などで迎えにいけない場合、保護者がお迎えを依頼します。
病児・病後児保育施設とは、体調が悪い子どもを看病できない保護者に代わって一時的に預かる施設ですが、その施設の保育士か常駐する看護師がタクシーで迎えに行きます。
併設する小児科を受診させ保護者が迎えに来るまでそこで子どもを預かります。
どうしても迎えに行けない保護者にとっては助かりますね。
今回、臼杵市はこの制度のため約900万円の予算を計上しました。
保護者の負担ですが送迎の費用はタクシー代の実費額です。
ただ保護者の負担の上限は1000円です。
超えた分は市の予算から充てられます。
受診料はこれまで通り無料です。
そして病児保育施設の利用料は5時間までが1000円、5時間を超えると1500円です。
なるべく保護者の負担を減らそうという仕組みになっています。
今回の制度について幼児教育が専門の大分大学の永田誠准教授に伺いました。
「この仕組みが広まっていけば、臼杵市は子育てがしやすい街だというイメージにつながる。ただ、迎えに行くのは子どもにとって初めて会う大人です。体調が悪い子どもがさらに不安に感じてしまうのでは」と課題もあげていました。
少子化対策の一手になるのでしょうか、大分県内初の取り組みは2024年5月1日に始まります。