19:00 更新
全国で深刻な問題となっているコメの品薄と値段の高騰。
また台風10号の被害を受けたコメ農家は収穫に支障が出ています。
佐藤アナ
「ここですか?わ、何もない」
大分県由布市庄内町で収穫したコメを保管するJAおおいたの倉庫。
倉庫には2400トンが入りますが、4つのうち3つが空になっていました。
JA全農おおいた米麦課 衛藤孝史さん
「例年だとこの半分くらい。全部埋まっているような状態だと思います。インバウンドとか観光客が増えたという要素もあると思います。そういった関係で在庫が少なくなっていると思います」
残り1つの倉庫にも在庫は40トンしかありません。
2023年と比べると2割にも満たないといいます。
JA全農おおいた米麦課 衛藤孝史さん
「(最近は)なかなかない光景だと思います。それくらい需要が旺盛だったという形です」
米農家 清末隆文さん
「水路が決壊して水が寸断されている状態。第一に水川からポンプで上げるなり水をあててやらないと枯れたり収量が落ちたりする」
国東市安岐町で12年コメ農家をしている清末隆文さん。
収穫を目前に控えた先週、台風10号が襲いました。
水路がほとんど流され稲に水をあげられない状態に。
また、田んぼに続く橋も流されてしまいました。
米農家 清末隆文さん
「橋がないから行けないでももう刈り取りしないといけない」
橋や農道が被害を受け収穫に必要な機械を田んぼに入れられません。
米農家 清末隆文さん
「刈り取りが迫っている分はなんとかして刈りたいので仮でも通れるようにして何とか収穫しようと」
清末さんは、田んぼを削って道を広げるなどの対応をして1カ月ほどかけて収穫をする予定ですが今後、大雨などでさらに被害が大きくならないか頭を抱えています。
米の価格高騰や品薄はいつまで続くんでしょうか。
大分でも深刻な問題となっています。
まずは価格を見ていきます。
さかのぼってみると実は変動を繰り返しているんです。
このグラフはお米の販売基準となる全国の「取引価格」の推移です。
玄米60キログラムあたり1万円台を上がったり下がったりし続けています。
需要が下がったコロナ禍の2021年には1万2804円まで下がりましたが、そこから上がり続け、2023年は1万5307円でした。
では2024年はどのくらいあがるのでしょうか。
こちらです。
1万9000円代か、それ以上に上がる可能性もあるということです。
高騰のワケは猛暑による不作やインバウンド増加による需要のアップなどが挙げられます。
では2024年の「販売」価格はどうなんでしょうか。
大分県内で8月に収穫された早期米県産のコシヒカリ、2024年の新米の価格です。
大分県内のスーパーなどに出回る販売価格は2023年は5キロで1780円でした。
これに対して2024年はなんと2680円、900円も上がっているんです。
これから収穫される新米に関してもほぼ同じくらいの価格になるんじゃないかとJA全農おおいたは話しています。
これだけ価格が上がっているのにはやはり在庫不足が関係しています。
取材したJA全農おおいたが所有する県内72カ所の倉庫にある在庫は7月末時点で去年は4千トンほどだったのに対し、2024年は約2千トン。
半分近くに減っています。
この品薄と価格高騰は一体いつまで続くんでしょうか。
JA全農おおいたの衛藤孝史さんに聞きました。
「今が一番在庫が少ない時期、9月中旬から新米が入って在庫も増える見込み。10月ごろから価格の高騰は落ち着くのでは」ということです。
また台風についてこれまでのところ価格を左右するほどの大きな影響は確認されていないということですがまだ未知数です。
お米は夏~秋に収穫した分を1年かけて消費していきます社会情勢が変わる中で需要と生産のバランスを取るのが非常に難しいそうです。消費者としては少しでも早く安くなってほしいですが新米が流通するまで慌てて買い占めたりしないことが大事なのだと感じました。